太陽光発電が脚光を浴びるにつれて、「太陽光発電を取扱商品に加えたい」と取引を希望する会社が大変に増えていいるそうです。
しかし、メーカー側は原則として取引先は増やさず、むしろ減らす方向、というメーカーさえあります。
太陽光発電はメーカーはパーツの販売のみ、実際に完成品になるまでには 販売店の技術力や商品の理解力が必要であり、正しく販売ができて技術力のある販売店、法令を厳守できる会社を残していこうというメーカー側の思惑がうかがえます。
何故このような状況かというと、太陽光発電の工事は建築と電気両方の知識が求められます。
現在メーカーIDを取得している業者でも、販売をメーンにしているところは専門的な工事は外注に頼るところが多く、自社で販売から施工全てをまかなえる業者は少なく、トラブル発生も増えているからです。
ちなみにオール、電化の場合は工事を伴うとはいえ、比較的簡単な工事で事足りますし、システムの設計ということまでは必要ないのですが、太陽光発電システムの場合は屋根の構造に合わせてシステムを設計しなければならず、そこがネックとなって販売行為を優先して、現地調査などをおろそかにした場合、「導入したものの思ったほど効果がない」と言う話が出ています。
メーカーの認定制度
太陽光発電システムを販売するには、メーカーが行っている研修を受け、メーカーが発行するIDを取得しなければ、原則販売も施工もできない形になっています。
また、メーカー独自のシミュレーションソフトを作成していますが、これもメーカーのIDを取らなければ使えず、これらのソフトを利用すれば、発電量や電気代の見積もり、設置した状態の家の3次元イメージといったシミュレーションを作成して、顧客に提示することができます。
さらに太陽光発電システムはメーカーの10年保障が付きますが、その申請を業者が行う際にも、メーカーID番号が必要になります このことにより、多くのメーカーを取り扱うには、当然各メーカーの研修をそれぞれ受ける必要があり、複数メーカーの製品を取り扱おうとすると、非常に手間と金額ががかかるのです。
このようなことから、複数のメーカー商品を扱う販売業者は少なく、業者は自社扱い商品の説明だけで、消費者が各メーカーの商品を比較検討したい場合は、数社の販売業者に見積もり、シュミレーションを依頼しなければならないのが現状です。
ソーラーローン
太陽光発電システムを購入するにあたり、分割払いができるように最長15年に渡ってローンを組む制度があります。
このローンはクレジット会社と契約をするようになり、クレジット会社の審査が大変厳しくなったため、新規に販売事業を始めることはなかなか困難です。
場合によっては店舗を持っていなければクレジット契約ができない、といったケースもあり、その場合は初期投資の負担が大きくなります。
補助金の申請手続きを代行
申請や書類作成には豊富な知識と大変な手間がかかり、手続き代行者資格が必要で、この点も業者にとっては高いハードルになっています。
業界の現状と実態
太陽光発電システムの流通は上記のようにメーカーによって非常に厳しく統制・管理されていて、業界参入には様々なハードルがあります。
それでは現在太陽光発電販売を扱っている会社はどれもメーカーと取引のある正規の会社かというと、そうでもありません。
現実には二次店、三次店といった位置付けで販売している業者がたくさんいます。
このような業者が主に「訪問販売業者」であり、一般住宅で設置された太陽光発電システムのうちの、約6〜7割が訪問販売によるものだと言われています。
特に訪問販売が悪いということではなく、ごく一部の強引な販売やオーバーな表現が消費者トラブルを招いてきました。
太陽光発電システムはこれまでの普及の過程で、訪問販売業者の販売力に頼らざるを得なかった部分が多いのも事実です。
悪質な訪問販売などによる消費者問題の発生により、法的な規制も厳しくなり、今後は不適正な販売業者を排除していくような流れになっていくのは間違いないでしょう。
今後は業界全体でも、流通の合理化、変革などを検討し、適正な業者を育成するような仕組みを確立するなど、早急かつ適切な人材教育が大きな課題といえましょう。