太陽光発電システムの販売に関する相談件数が、昨年から今年にかけて急増しているとのことで、新設された消費者庁から経済産業省に対し、太陽光発電の消費者トラブルに関する申し入れがありました。
消費者庁の報告によると2007年に約1400件だった相談件数が、2008年には約1700件、今年に入っても昨年の同時期に比べて増加の傾向にあるそうです。
その相談の内容はといううと、トラブル件数の約8割は「訪問販売」によるものだそうで、消費者庁の要請を受け、経済産業省では社団法人太陽光発電協会に送り改善を促しました。
関係者からは「それだけ太陽光発電が注目を浴びている証拠。ある意味必要悪だ」といった声さえもあるそうです。
このような開き直った意見が出て、業界が毅然とした態度を取れないのには、様々な理由があります。
それは、「太陽光発電業界の成長の歴史」とも関係があっるようです。
なぜかというと、太陽光発電システムは意味特殊な商品で、「建築」と「電気」の両方の要素を併せ持った、これまでの市場にはない全く新しい商品です。
加えてシステム価格も高く、一般個人が対象でありながら、耐久消費財というよりもエネルギーをつくり出すという“生産財”の要素を強く持っています。
このような太陽光発電システムを販売することは、これまでにない「新しい価値観」を提案することで、しかも高額な商品を販売するのは容易なことではなく、豊富な経験と優れた販売スキルを必要とします。
普及の初期段階で、各メーカーがその販売方法に苦慮し、市場への導入当初は、既存の工務店や屋根工事店、電気工事店など様々な販売ラインを模索しましたが、結果的に最も普及に貢献したラインは「訪問販売」の業者でした。
現在、住宅用太陽光発電の約7割は、訪問販売によって売られているといわれています。
それでは、彼らが太陽光発電システムの価値を理解し、顧客の納得を得たうえで販売していたかというと、それはNOでしょう。
実際には正直な業者ほど販売が伸び悩み、事実を誇張したり、事実を隠すもしくはウソをついて販売したところが売上を伸ばしてきたというのが、過去の業界の現実といえます。
このような業者対策をすることなく、見て見ぬ振りをしてきた感があり、そこに悪徳業者が付け入るスキが生じたといえましょう。
このような歴史を持つ太陽光発電の業界にとって、「訪問販売」は切りたくても切れない「腐れ縁」といえましょう。
今後、国策としても注目されている太陽光発電ですから、業界が率先して浄化してもらいたいものです。